狂犬病~犬・猫などの動物にかまれたら~
令和5年7月26日
(ポイント)
●狂犬病に感染し、潜伏期間を経て発症した場合、致死率はほぼ100%です。
●犬・猫などの動物に咬まれたり引っ掻かれた際は、至急医療機関の診察を受けましょう。
●犬・猫などの動物に咬まれたり引っ掻かれたりすると、ワクチン接種が必要な場合があります。トルコでは公的病院でワクチンの接種を受けられます。
(本文)
トルコにお住まいの皆様及び出張者・旅行者の皆様へ
1 狂犬病の発生状況
(1)アンカラ、イスタンブールをはじめとするトルコの都市では路上での野犬を目にすることが多く、トルコ当局は、野犬に対しても積極的に狂犬病ワクチンを接種(耳にタグがついている犬はワクチン接種を受けていることになっています)するなどの対策をおこなっていますが、他国と地続きの国ゆえ、完全に撲滅することは不可能なようです。
(2)狂犬病は日本、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国を除いて全世界に分布しており、ほとんどの国で感染する可能性があります。毎年、世界中で5万人以上の人が狂犬病感染で死亡しているともいわれており、特にアジア地域とアフリカ地域で多く発生していますが、北米、欧州の一部地域でも感染のおそれがあります。世界各国における狂犬病の発生状況として、狂犬病による死亡例が最も多いのはインドで約7,400人(2016年)であり、中国では約2,600人(同)、パキスタンでは約1,600人(同)の感染死亡例が発生しています。
(3)ここトルコでは1970年代までは年間40例程度のヒト発症例が報告されていましたが、野犬対策により発症数は激減しました。
しかしながら、1997年から2007年の間、39例のヒト発症例が報告されており、その後も年間1例から4例のヒト発症が報告され狂犬病汚染国であることは間違いありません。トルコの特徴として、イスタンブール、イズミルなどの都会での発症が多く、感染原因としては犬による咬傷が最も多いようです。
2 狂犬病について(検疫所ホームページもご参照ください)
(1)感染源
狂犬病は、日本では撲滅された過去の感染症ですが、世界では、いまだ、感染者が出ています。狂「犬」病という名称ですが、犬に限らず、猫やイタチ等他の哺乳動物(北米ではアライグマ、スカンク、コウモリ、欧州ではキツネ、アフリカではジャッカルやマングース、その他牛や馬など)からも感染することがあります。狂犬病に感染したほ乳類の唾液中にウイルスが存在しますので、主に動物に咬まれることで、その傷口からウイルスがヒトの体内に侵入します。
(2)症状
人の場合、潜伏期間は一般に1か月~3か月で、長い場合は1年~2年後に発症した事例もあります。発症した場合はほぼ100%死亡します。症状は発熱、頭痛、嘔吐などに始まり、次いで筋肉の緊張、けいれん、幻覚が現れます。水を飲むとのどがけいれんをおこし(恐水症)、冷たい風でも同様にけいれんをおこします(恐風症)。 犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、よだれを大量に流し、昏睡、呼吸麻痺が起き、死に至ります。
(3)予防方法
ア 動物にむやみに手を出さない。
むやみに犬や猫、その他の動物に手を出さないようにしてください。他人のペットであっても要注意です。
イ 具合の悪そうな動物には近づかない。
狂犬病の犬は、多量のよだれを垂らし、物に咬みつく、無意味にうろうろするなど独特の行動をします。
ウ 予防接種(暴露前接種)
狂犬病ワクチンは日本国内の医療機関で接種することが可能ですが、現在、狂犬病ワクチンの在庫が減少している状況に鑑み、狂犬病の流行地域からの帰国者で犬等に咬まれた方、狂犬病の流行地域への渡航予定者で犬等に接触する可能性が高い方に優先的に接種されています。
渡航、滞在先で動物を対象に活動する場合や居住予定地域付近に医療機関がない場合には、日本の検疫所ホームページに掲載されている予防接種可能な医療機関に御相談ください。
https://www.forth.go.jp/useful/vaccination02.html
狂犬病ワクチンを接種する場合は、初回接種後、30日目、6~12か月後の計3回接種します。
(4)万一動物等に咬まれた場合の対策
狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれてしまった場合、直ちに十分に石けんを使って水洗いをします(傷口を口で吸い出したりしない)。その後、すぐに医療機関で傷口を治療しワクチン接種をします。ご参考までにWHOの定めた狂犬病ワクチン接種基準をお示しします。
【ワクチン接種が必要かどうかの目安(WHO基準)】
○カテゴリー1
接触状況:触れたり、餌を与えた。傷のない皮膚をなめられた。
処置方法:処置の必要なし。
○カテゴリー2
接触状況:直接皮膚をかじられた。出血を伴わない引っ掻き傷やすり傷。傷のある皮膚をなめられた。
処置方法:ワクチン接種スケジュールを開始する。
○カテゴリー3
接触状況:1カ所以上の咬傷や引っ掻き傷・粘膜をなめられた。
処置方法:狂犬病ガンマグロブリンとワクチン接種スケジュールを開始する。
(※) 現在WHO推奨の接種スケジュールには、咬まれた日を0日として、0、3、7、14、28日の計5回(Essen法)、もしくは0日に2倍量のワクチンを接種して7、21日の計3回(Zagreb法)があります。
3 狂犬病ワクチン接種医療機関
(1)狂犬病ワクチンは公的病院でないと受けられません。動物などに噛まれた場合は、すみやかに公的病院の救急外来を受診してください。
(2)イスタンブールで狂犬病ワクチン接種を受けられる主な医療機関についてはこちらをご参照ください。
イスタンブール以外については、「kuduz aşısı(狂犬病ワクチンという意味)地名」などの単語で検索願います。)
在イスタンブール日本国総領事館 領事班
代表電話:0212-317-4600
FAX :0212-317-4604
メール:ryoji@it.mofa.go.jp
●狂犬病に感染し、潜伏期間を経て発症した場合、致死率はほぼ100%です。
●犬・猫などの動物に咬まれたり引っ掻かれた際は、至急医療機関の診察を受けましょう。
●犬・猫などの動物に咬まれたり引っ掻かれたりすると、ワクチン接種が必要な場合があります。トルコでは公的病院でワクチンの接種を受けられます。
(本文)
トルコにお住まいの皆様及び出張者・旅行者の皆様へ
1 狂犬病の発生状況
(1)アンカラ、イスタンブールをはじめとするトルコの都市では路上での野犬を目にすることが多く、トルコ当局は、野犬に対しても積極的に狂犬病ワクチンを接種(耳にタグがついている犬はワクチン接種を受けていることになっています)するなどの対策をおこなっていますが、他国と地続きの国ゆえ、完全に撲滅することは不可能なようです。
(2)狂犬病は日本、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国を除いて全世界に分布しており、ほとんどの国で感染する可能性があります。毎年、世界中で5万人以上の人が狂犬病感染で死亡しているともいわれており、特にアジア地域とアフリカ地域で多く発生していますが、北米、欧州の一部地域でも感染のおそれがあります。世界各国における狂犬病の発生状況として、狂犬病による死亡例が最も多いのはインドで約7,400人(2016年)であり、中国では約2,600人(同)、パキスタンでは約1,600人(同)の感染死亡例が発生しています。
(3)ここトルコでは1970年代までは年間40例程度のヒト発症例が報告されていましたが、野犬対策により発症数は激減しました。
しかしながら、1997年から2007年の間、39例のヒト発症例が報告されており、その後も年間1例から4例のヒト発症が報告され狂犬病汚染国であることは間違いありません。トルコの特徴として、イスタンブール、イズミルなどの都会での発症が多く、感染原因としては犬による咬傷が最も多いようです。
2 狂犬病について(検疫所ホームページもご参照ください)
(1)感染源
狂犬病は、日本では撲滅された過去の感染症ですが、世界では、いまだ、感染者が出ています。狂「犬」病という名称ですが、犬に限らず、猫やイタチ等他の哺乳動物(北米ではアライグマ、スカンク、コウモリ、欧州ではキツネ、アフリカではジャッカルやマングース、その他牛や馬など)からも感染することがあります。狂犬病に感染したほ乳類の唾液中にウイルスが存在しますので、主に動物に咬まれることで、その傷口からウイルスがヒトの体内に侵入します。
(2)症状
人の場合、潜伏期間は一般に1か月~3か月で、長い場合は1年~2年後に発症した事例もあります。発症した場合はほぼ100%死亡します。症状は発熱、頭痛、嘔吐などに始まり、次いで筋肉の緊張、けいれん、幻覚が現れます。水を飲むとのどがけいれんをおこし(恐水症)、冷たい風でも同様にけいれんをおこします(恐風症)。 犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、よだれを大量に流し、昏睡、呼吸麻痺が起き、死に至ります。
(3)予防方法
ア 動物にむやみに手を出さない。
むやみに犬や猫、その他の動物に手を出さないようにしてください。他人のペットであっても要注意です。
イ 具合の悪そうな動物には近づかない。
狂犬病の犬は、多量のよだれを垂らし、物に咬みつく、無意味にうろうろするなど独特の行動をします。
ウ 予防接種(暴露前接種)
狂犬病ワクチンは日本国内の医療機関で接種することが可能ですが、現在、狂犬病ワクチンの在庫が減少している状況に鑑み、狂犬病の流行地域からの帰国者で犬等に咬まれた方、狂犬病の流行地域への渡航予定者で犬等に接触する可能性が高い方に優先的に接種されています。
渡航、滞在先で動物を対象に活動する場合や居住予定地域付近に医療機関がない場合には、日本の検疫所ホームページに掲載されている予防接種可能な医療機関に御相談ください。
https://www.forth.go.jp/useful/vaccination02.html
狂犬病ワクチンを接種する場合は、初回接種後、30日目、6~12か月後の計3回接種します。
(4)万一動物等に咬まれた場合の対策
狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれてしまった場合、直ちに十分に石けんを使って水洗いをします(傷口を口で吸い出したりしない)。その後、すぐに医療機関で傷口を治療しワクチン接種をします。ご参考までにWHOの定めた狂犬病ワクチン接種基準をお示しします。
【ワクチン接種が必要かどうかの目安(WHO基準)】
○カテゴリー1
接触状況:触れたり、餌を与えた。傷のない皮膚をなめられた。
処置方法:処置の必要なし。
○カテゴリー2
接触状況:直接皮膚をかじられた。出血を伴わない引っ掻き傷やすり傷。傷のある皮膚をなめられた。
処置方法:ワクチン接種スケジュールを開始する。
○カテゴリー3
接触状況:1カ所以上の咬傷や引っ掻き傷・粘膜をなめられた。
処置方法:狂犬病ガンマグロブリンとワクチン接種スケジュールを開始する。
(※) 現在WHO推奨の接種スケジュールには、咬まれた日を0日として、0、3、7、14、28日の計5回(Essen法)、もしくは0日に2倍量のワクチンを接種して7、21日の計3回(Zagreb法)があります。
3 狂犬病ワクチン接種医療機関
(1)狂犬病ワクチンは公的病院でないと受けられません。動物などに噛まれた場合は、すみやかに公的病院の救急外来を受診してください。
(2)イスタンブールで狂犬病ワクチン接種を受けられる主な医療機関についてはこちらをご参照ください。
イスタンブール以外については、「kuduz aşısı(狂犬病ワクチンという意味)地名」などの単語で検索願います。)
在イスタンブール日本国総領事館 領事班
代表電話:0212-317-4600
FAX :0212-317-4604
メール:ryoji@it.mofa.go.jp